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行ロボットとしては世界初のもので1987年12月に初めて海中歩行実験に成功し、それ以来合計5回の海中歩行実験を行いその性能を実証した2)。

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Table.1 Specification of AQUAROBOT

3−3.ハードウェアの特長
AQUAROBOTはそれぞれ3関節を持つ6本の脚を軸対称に配置しており、各関節はDCサーボモータで駆動される。
各脚には脚光の接地を検出する接触センサー、胴体には傾斜計、方位計、水圧計が内蔵されている。これらのセンサーにより各脚が接地した点のx,y,z座標を記録することができ、それらを図示して深浅図を作成することができる。Fig-3.に2号機の構成を示す。

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Fig-3. Blueprints of AQUAROBOT (second)

3−4.従来のソフトウェア
従来のソフトウェアは当時のコンピューターの処理速度の関係から、脚を上げる、脚を前に動かす、脚を着地させる、着地した脚を後ろに動かすことによって胴体を移動させるという、ひとつの動作シーケンスごとに次の動きを生成するという擬似的なリアルタイム制御であった。歩容は3本の脚を交互に動かすTripod歩容とし各方向への直進とその場回転ができる。脚の踏み変え時には胴体は停止するので、歩行中に胴体は移動と停止を繰り返し、歩行速度及びエネルギー効率の点で充分ではなかった。しかしながら特殊な計算アルゴリズムと関節脚式歩行ロボットに適した関節出力トルクと重量配分のおかげで1号機は平面上で7.5m/min.の歩行速度を実現した。
このことからリアルタイム制御が実現できれば、歩行速度の大幅な増大が見込める。また胴体軌道も自由に設定できるので誘導歩行で本来の軌道から外れた場合の復帰もスムーズに行える。
海中の凹凸面上の歩行では水の濁りにより光学式センサーの使用が不可能なことから操縦式の制御は不可能であり、海底地形等の海中環境を各種センサー情報からロボットが判断して脚の運動を生成する自律性が必要である。AQUAROBOT従来ソフトウェア用には、歩行を行わせたい領域の端点の座標と走査幅を与えると必要なロボットの軌道を生成するソフトウェアがあり、AQUAROBOT2号機の海中実験ではこのように生成された軌道に沿ってLBL方式の超音波式位置測定装置とロボットに内蔵した方位センサーを用いて誘導歩行するシステムを用いた。歩行中の胴体の傾斜は傾斜センサーからの情報で自動的に修正される。よって歩行中は人間による制御は必要なく自律的な移動が可能である。
4.高濃能歩行制動システム
4−1.全方向移動のための歩容
昆虫のような左右対称に二列に並んだ脚配置の2n足歩行ロボットでは、前方ウェーブ歩容(forward wave gait :ロボットを進行方向の横から見て、後ろの脚から前の脚へと脚を上げる順番か移っていく歩容で、波が後ろから前に伝わるように見える)と呼ばれる歩容が最も静的安定余裕が大きい歩容であることが知られている3)。これは本研究の6足歩行ロボットのように、軸対称な脚配置のロボットでも、ほぼ同様である。
しかし、この歩容は、デューティ比β(duty factor:全脚数に対する支持脚の数の割合)によって、脚の上下のタイミングが大きく異なるため、歩行中にデューティ比を変化させることは難しい。
また、本研究の課題である全方向への自由な移動を実現するためには、進行方向に合わせてウェーブの方向を変化させなくてはならない。側行角α(Crab angle:進行方向と第1脚のなす角)か変わると今まで進行方向に対して右足だったものが左足になったり、中央の足とい

 

 

 

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